映画版「8番出口」の感想です。
映画以外にも、ゲームや小説でも同タイトルを楽しむことができるので、未視聴の方はそちらからお試しするのもオススメです!
ゲーム版はコチラ⇒8番出口 Switch
小説版はコチラ⇒8番出口 Kindle版
※本記事はネタバレも含むので、ご注意ください!
Contents
8番出口はホラーが苦手でも大丈夫?
本作はゾンビやモンスターが出てくるようなホラー作品ではありません。
映倫区分はG(全年齢対象)であり、グロやスプラッターなどの過激な表現もないので、その点は安心できます。
しかし、異変という名の怪奇現象が起こり、見えない何かと戦うという緊張感は常に押し寄せます。
いつが起こるか分からないという緊張感を持てるかどうか、そして異変を楽しめるかどうかで評価が変わるでしょう。
演出としてはジャンプスケアと呼ばれるビックリ系の側面は強いです。
全年齢対象とはいえビックリ演出が苦手な方や、小さなお子様との観覧はオススメできません。
さらに、公式では津波に対する注意書きがなされているので、その点は注意が必要と言えます。

映画館では特に臨場感があるため、びっくり系が苦手な方は配信を待つか、小説から入ってみるのもありでしょう。
ゲームも多少ジャンプスケアはあるため、プレイ動画を視聴するというのも1つの選択です。
クリアしていなくても、事前知識があった方がより没入できるかと思います。
こんな人にオススメ!
「トワイライトゾーン」や「世にも奇妙な物語」のような、日常に近い変異を描く作品が好きなのであればハマると思います。
不気味な演出や何が起こるか分からないという不安定な予測の連続であり、次の展開を期待させてくれること間違いなしでしょう。
直接的なホラーではなく、想像力を掻き立てるタイプのホラーと言えます。
そして、抗えない理不尽な超常現象に対し、ギリギリ精神を保ちつつ、困難に立ち向かう主人公の姿がそこにはあるのです。
8番出口のゲーム版はどんな内容?
原作であるゲーム版「8番出口」は至ってシンプルな脱出ゲームとなっています。
ルールは下記の通り。
あなたは無限に続く地下通路に閉じ込められている。
周囲をよく観察し、「8番出口」まで辿り着こう。異変を見逃さないこと
https://store.steampowered.com/app/2653790/8/?l=japanese
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
異変が見つからなかったら、引き返さないこと
8番出口から外に出ること
このルールに則り、ひたすら出口を目指すだけというゲームです。
ゲーム本編ではセリフもなく、ストーリーも一切語られることはありません。
そのため、どのように映画化されるのかが期待されることとなりました。
映画の内容は小説準拠
映画「8番出口」の内容は小説版に準拠しています。
監督、作家ともに川村元気氏によって著されたものです。
ゲームを再現しながらも、シナリオは小説版に則ったストーリー展開がなされています。
8番出口に迷い込んだ人物(通称:迷う男)の背景やキャラクターが語られる事となりました。
簡単なあらすじについても紹介していきましょう。
(結末は伏せていますが、ネタバレもあるのでご注意を。)
8番出口 あらすじ
喘息持ちの主人公は「迷う男」として、人生の選択において逃げたり迷っていました。
最初のシーンでは、地下鉄で泣きわめく赤ちゃんをあやそうとする母親を横目で見るところから始まります。
赤ちゃんの側にいたサラリーマンが、その泣き声にブチ切れて「うるせえ!!」と、強く母親を非難し始めるのです。
主人公は助けに入ろうか悩んだ挙句、逃げるように地下鉄を降りてしまいます。
その道中、別れたばかりの彼女からの電話が来て、子供が出来てしまった事を聞かされるのです。
このまま産むのかはたまた…という選択が出来ず、答えも曖昧なまま地下道を出ようとする主人公。
ところが、進んでも進んでも8番出口から出る事が出来ず、何度も同じ場所をループしてしまうのです。
脱出するためには異変を見つけるか否かというルールを課せられます。
同時に、自分が悩んで答えの出せない決断に向き合えるかどうかが、8番出口は問いかけてくるのです。
果たして、主人公は8番出口から脱出し、答えを出す事ができるのか…?
以上、あらすじ紹介でした。
続いては良かった点と微妙だった点についてです。
8番出口の個人的批評
良い点①:ゲームを知っているとより楽しめる!
本作はゲーム未プレイでも楽しめるかと思われます。
さらにゲームをプレイする事によって、より没入感を得られるかもしれません。
例えば、異変をチェックする際の順序や確認の仕方が、まさにゲーム再現なのが面白いです。
プレイヤーによって異なるかもしれませんが、「自分もそうやって確認してた!」という共感が得られると思います。
また、疑心暗鬼になるのも「8番出口あるある」であり、異変がなくてもあるように感じてしまう事も再現されていました。
さらに異変があるのに気付かずスルーしてしまうなど、プレイしたからこそ分かるネタもあり、ゲーム経験の有無によって感じ方が変わるかと思われます。
映画ならではの異変もあるため、原作との違いも大いに楽しむ事が出来ます。
良い点②:ループに絶望する人間のリアル
主人公は喘息持ちという設定であり、激しくせき込むシーンが多く、それが辛さや過酷さを物語っているという演出は良かったです。
また、過呼吸になる場面もあり、説明がなくても精神的な弱さが情報として伝わってきます。
そして、ループによって精神がどんどん病んでいくという姿に、感情移入しつつ応援してしまいました。
微妙な点①:ややボリューム不足?
ゲーム自体は15分から1時間程度のボリュームであり、あっさりクリアできます。
映画においても、ストーリーは深掘りされながらも「もう終わり?」と印象を抱きました。
もう少し主人公の闇だったり、過去のトラウマが異変と連動するような作りになっていれば、カタルシスもあったかなと思います。
時間をかけて長い迷宮を脱出した割に、結末としては些細なものでした。
もちろん、主人公の成長という意味では良いラストだったのですが、マイナスの状態からやっと1になった程度の幅に感じたのです。
微妙な点②:同じ絵面が続く事
原作同様、同じ通路が延々と続き、ほとんど絵面が代わり映えしないです。
もちろん、そういうゲームなので仕方ない事ではあります。
ただ、せっかくの映画ですので、もう少し飽きさせない工夫もあっても良かったのではないかと。
途中で「おじさん視点パート」が挟まったのが非常に良かったですが、もう1度それくらいの転換が欲しかったです。
総評:ラストについて
オープニングにおける異変がラストシーンに繋がっているという展開は非常に良かったです。
現実に戻った主人公は、異変に対し引き返すのではなく、立ち向かうという選択を取れるようになったのが素晴らしい。
原作のゲームも大事にしつつ、邪魔にならないストーリーや再現度の高い異変が起こったのも良いポイント。
その一方で、大きな転換がないため、意外性を望む事は出来ません。
主人公の精神的な試練や成長を主軸に置いているため、王道的な進行となっています。
加えてやや地味な終わり方となっているので、そこは賛否が分かれるかなという所です。
このラストを描くのであれば、子供以外にも複数の悩みやトラウマなどの弱点を抱えていた方が、より成長したと実感できると思います。
つまり、マイナス10から1にするのではなく、マイナス100から1にした方が成長のギャップと喜びは大きくなるという事です。
あくまでゲームをリスペクトされた作品になっていると思うので、炎上や失敗をしない丁寧な作りだと感じました。
逆に言えば、期待しすぎた場合は拍子抜けしてしまうのではないかと思われます。
映画『8番出口』を見た感想 最後に
それなりに面白かったですが、起伏のある展開を期待していので、やや物足りなさを感じました。
ただ、物語としてはまとまっているので、ゲームファンからの評価が高いのは分かる気がします。
つまり、本作は映画として見るか、それともゲームの延長として見るかで、見方は大きく変わるのではないかと。
ゲームを題材にした映画はヘタをすれば炎上リスクもありますが、本作はしっかりと対策されていたように感じます。
それはそれでよいのですが、もう少し攻めた作品を見たかったというのが個人的な意見です。
見て損はなかったので、ゲームを知っている方や興味のある方はぜひオススメです。
その際は、ゲームをクリアした方がより楽しめるので、ぜひこの機会にプレイしてみてください!
ゲーム版はコチラ⇒8番出口 Switch
小説版はコチラ⇒8番出口 Kindle版
というわけで、今回は以上です。
また、別の記事でお会いしましょう。