人間関係における損得勘定をしてしまう事に「罪悪感」を持つ人もいるかと思います。
果たして損得過剰はやめた方がいいのかについて考察をしていきます。
人間関係に損得勘定はやめられない?
結論から言えば、基本的に人間関係に損得勘定は自然に発生すると思います。
やめる、やめない云々の話ではなく「してしまうもの」だという事です。
例えば「無償の愛」という、尊い自己犠牲の精神があったとしましょう。
しかし、そこには「他人への愛を注ぐ事に”自分が喜びを感じる”」という、自分本位の「得」が根底にあるとも言えるのです。
他人に貢献したいという気持ちは、結局「自分が良かれ」と思うからであり、それはつまり「損得勘定」なのです。
損する事を避けるのも損得勘定
仮に「得」をそこまで求めていなくても、「損する事」は避けることまた損得勘定です。
例えば、恋人や結婚にするにしても、嫌いな人間をあえて選ぶでしょうか?
話が嚙み合わない人間と一緒に仕事がしたいと思えるでしょうか?
銃口を向ける人間に対し、心の底から友好的な態度が取れるとでもいうのでしょうか?
つまり「損になる」と分かっている人間は、出来るだけ避けたいと思う方が自然なのです。
意識的にしろ無意識的にしろ、損得勘定をしてしまうものなので「やめる」という選択は難しいと言えるでしょう。
損得勘定が嫌われる理由
その一方で、損得勘定をする事で「計算高い人間」などと揶揄される人もいます。
そういう場合は、無意識ではなく”意識的に得と損”を使い分けている方が該当すると思われます。
ではなぜ意識的に損得勘定をしてしまうのか?
その理由は、「自分軸」か「他人軸」で物事を考えているか、という違いにあると思います。
「他人軸」で物事を考える人は、最終的に「損するリスクが高い」といえるため、その違いについて深堀していきます。
他人軸での損得勘定
そもそも他人軸とはその名の通り「他人との比較」によって自分を見出すという人を指します。
例えば「他人との競争」を勝手に始め、「いかに自分が得をして損をしないか」という計算をあれこれと張り巡らせているのです。
そのための手段として「他人」を勝手に評価・ランク付けして「メリットのある人間」を厳選しようとするわけです。
そんな風に、人間関係に「優劣」をつけるための損得勘定が忌み嫌われると僕は考えているのです。
例えば、相手から「君にはメリットがあるから付き合ってあげるね!」などと上から目線で言われたら、普通に面白くないはずですからね。
もちろん、それが良いとか悪いという二元論的な話ではありません。
しかし、そういう考え方をしていると、不公平感を感じたり、劣等感に苛まれるのではないかと思います。
なぜなら、毎回見返りが十分貰えるわけではありませんし、常に優位に立てるわけではないからです。
「自分が親切にしてあげたら、相手もお礼を返してくれるだろう」というのは自分の妄想の話であり、思い通りの結果になるわけがありません。
むしろ、親切にしてあげたという上から目線のおせっかいで、本当に相手が喜んでくれたのかも分からないのですから。
そんな風に見返りを期待するくらいだったら、最初から親切にしない方がマシというものです。
それはもはや「得と損」の話ではなく、「他人と比べて自分が損していることが面白くないだけ」という他人との優劣の問題なのです。
優劣で考えてしまう事は、不毛で大変なのではないかと思います。
不毛だと思うならばやめればいいですし、そうでないならばそれでいいじゃないですか、という話なのですけれど。
自分軸での損得勘定
その一方で、自分軸における損得勘定は単純なものです。
人間関係の基本は「一緒にいて楽しいかどうか」が全てですから。
相手が楽しいと思ってくれれば猶更いいですが、そうでなければさようなら。
これが自分軸における人間関係の基本的な考え方であり、他人との優劣に拘らないのです。
無理に他人に合わせる必要もなければ、媚びを売ったり過度に気を遣う必要もありません。
自分は自分、他人は他人という区別があり、それでもいいと思ってくれた人とだけ付き合えばよいのです。
親切だって、自分がしたいからするのであり、見返りなんて期待していません。
そもそも、見返りを期待するような親切は「嘘」である事も分かっているのです。
もちろん、自分にとっての「得」を求めるという点では、他人軸とは変わりません。
けれど、いちいち他人に対して優劣をつけるような「損得勘定」はしないので、劣等感もなければ不公平感に苛まれることがないのがメリットと言えるでしょう。
その一方で、自分軸とは自分からあえて好かれようとしないので、結果的に付き合える人間は少なくなるというデメリットもあります。
他人軸は「広く浅く」だとするならば、自分軸は「狭く深く」といった人間関係になるのではないでしょうか。
もっとも、浅い関係はメリット・デメリットが主な繋がりとなるので、切れる時はあっという間になるとは思いますが。
人間関係の損得勘定について まとめ
人間関係に損得勘定を持つことに罪悪感を抱く人もいるかもしれません。
けれど、考えてみれば「損する人間とは付き合いたくない」と思う方が自然です。
むしろ、危害を加える人間も世の中にはいるわけなので、警戒するに越したことはありません。
また「自分にとっての居心地の良さ」を求めることも大切な事です。
嫌いな人と無理して付き合うと心が疲弊しますが、話を聞いてくれたりする「得」となる人がいれば活力も湧くでしょう。
そういう意味での損得勘定をする事は、決して悪いこととは思いません。
その一方で「他人と優劣をつけるための損得勘定」は避けた方がいいのではないか、というのが今回の趣旨です。
自分が優位に立つために他人を利用したとしても、それですべてに勝利できるわけがないからです。
他人に振り回されるのではなく、自分の軸を持って生きる方が、少なくとも劣等感や競争による疲弊は軽減されるのではないかと思います。
というわけで今回は以上です。
みなさまの多少のお役に立てれば幸いです。