ジョジョの奇妙な冒険 第8部「ジョジョリオン」の感想です。
(筆者は20年前にジョジョを読み始め、1部~8部まで読破済み。)
途中からつまらないと思っていましたが、中盤~完結にかけてようやく面白い作品だと思ったというのが総評です。
途中で読んで諦めた方も、これから読んでみたい方にとってもご参考になれば幸いです。
※ただし、多少のネタバレも含むのでご注意ください。
つまらないと思った理由について
ジョジョリオンは今でこそ多少の評価はされていますが、連載当時はつまらないと言った意見も目立ちました。
僕自身もその口であり、当時は単行本を追って読んでいましたが、10巻辺りで読むのをやめてしまいました。
その理由は主に5つ。
- 展開の遅さ
- バトルの複雑さと爽快感のなさ
- 語る事が出来ない名言・名シーン
- ミステリー作品としての欠点
- 4部と比較すると作風が全く異なる事
これらを深掘りしてお伝えします。
①ストーリー展開が遅い
まず最もつまらないと思った理由は、展開がとにかく遅すぎると感じてしまったからです。
というのもジョジョリオンは、第1巻から主人公・定助が記憶喪失の状態で始まり、さまざまなミステリーが展開されていきます。
定助の謎、東方家の謎、さらには謎の敵や味方など、謎が謎を呼んでいくのです。
本作のテーマはバトルよりもミステリー重視という事だったので、そこは全く問題ありません。
すぐに答えを出さずにヒントが小出しされていくのは、ストーリーとしては自然な流れとも言えます。
しかし、一番の問題はその謎が解けるのに時間がかかり過ぎたという事です。
定助の過去が明かされるのは、単行本で言えば12~13巻になってからであり、第1巻の発売日から約5年後に刊行されたことになります。
最初に提示された根本的な謎が延々と引っ張られる上、意味深なセリフは多くあれど、ミスリードとなるような伏線も多数あります。
その伏線が解決しないまま増え続ける一方で、大きな進展も迎えなる事もなく、「先の見えない物語」を追い続けるのは苦しいものだったのです。
しかも、最終巻27巻が出たのは2021年であり、完結まで約11年もかかる事となりました。
月1の連載なので仕方ないとはいえ、これほど長い年月を強いられるミステリーを追う方も結構精神力を使うのです。
(僕自身も追うのはやめ、完結するまでずっと待ってました。)
②バトルの複雑性と爽快感のなさ
続いてはバトル面です。
ジョジョリオンでは、これまでのスタンド同士の接近戦や、単純な殴り合いの場面は非常に少ないです。
その代わり、遠隔自動操縦型が増え「敵の本体の居場所を突き止める」という展開が多くなりがちとなりました。
多少ネタバレしつつ例を挙げると、
桜二郎、虹村京、ドロミテ、愛昌、プアー・トム、羽伴毅などなど、よく見れば全員同じような展開になっています。
遠隔攻撃を受ける⇒本体を探す⇒本体を叩く、という戦闘ばかりです。
加えて、東方大弥が記憶を奪ったり、剣のような幻覚を見せる能力など、「直接的でない攻撃」も多く、戦闘がかなり複雑になっていきます。
なので、「単純に相手をブチのめす!」という、痛快さがなくなってしまいました。
そんな敵の複雑な能力に対し、主人公である定助の能力は「どんなピンチも打開できる都合の良いスタンド」でもあります。
実際、これまでの主人公のような打撃に特化したスタンドでは、恐らく攻略は出来ないような難敵ばかり。
しかし、定助のスタンド能力はかなり曖昧であり、それゆえ便利すぎるのです。
物理的なモノを「奪う」という能力ですが、具体的に「何を」「どの程度」奪えるかはハッキリしていません。
それだけに、もはや「何でもあり」のように見えるので、いかに敵が強くても何とかなってしまうのです。
つまり、見えない敵からの攻撃が非常に厄介ですが、それよりも定助のスタンドが便利すぎる、という展開になってしまうのは、賛否が分かれる所でしょう。
③名シーンや名言の少なさ
さらに致命的なのは「名シーン」や「名言」で語る部分がない事です。
例えば、これまでのジョジョシリーズでは、仲間どころか敵にさえ魅力のあるキャラクターが多く描かれてきました。
8部では定助メインでしたが、それ以前は普通に仲間が活躍したり、場合によっては敵同士の戦いも熱いものがあったのです。
そこから飛び出すのはベストバウトもそうですが「名言」なのです。
バトル中だけでなく何気ない会話の中からも、名言や名シーンが飛び出してきました。
これらを友人やネットの中で語り合い、共感する事もまたジョジョの魅力だったのです。
もちろん、ジョジョリオンにも名言や名シーンがないことはないのですが、パっと言われて思いつくのは少ないでしょう。
せいぜい挙がるのは「クワガタ同士のバトル」くらいでしかなく、それだけジョジョリオンには印象深いシーンがないことの裏返しです。
そうなると「ここのシーンがいいんだよ!」という共有も出来ず、語れなくなってしまいます。
その代わりに、批判点やつまらないと言った事に焦点が当たるようになるという、悪循環も生まれました。
その結果、ジョジョリオンという作品は面白いというよりも、叩かれることが多くなったのではないかと思われます。
もちろん、「このシーンで盛り返した」とかがあればいいですが、途中離脱した方にとっては、本当に「8部のベストバウトはクワガタ対決戦」などと言われかねないと思われます。
④「結局あれは何だったんだ?」が多すぎる
そして、ジョジョリオンは伏線と思わせながらも、結局何でもなかったという描写が多いです。
それが数個程度であれば「ジョジョならよくある事」で済まされます。
しかし、本作は過去作よりも多すぎますし、ミステリーを題材にしまった作風だからこそ致命的ではないかと。
歴代の見どころであった「バトル」や「名言」などを切り捨ててまで選ばれたジャンルであると思うので、ミステリー要素は最も注力する必要があるのではないでしょうか。
例えば、定助の記憶の男に始まり、存命時の吉良吉影の性格、初登場時の憲助の黒幕っぽさ、壁の目、宝石を持った男の子エトセトラエトセトラ…。
キャラの言動など、意味ありげなシーンが多々ありますが、それらは特に説明のないままスルーされ続けるのです。
カレラや夜露なども、明かされた過去と矛盾する言動も見受けられたりも。
最初こそ何かあると思ってワクワクはしますが、「結局何でもなかったんかい!!」とか「この発言おかしいくない?」という演出が多いせいで、肩透かしを食らうのです。
そのため、真面目に読もうと思っても「この演出や発言に特に意味はないかも…。」と思ってしまい、あまりセリフが頭に入ってこないようになります。
つまり「物語にちゃんと向き合うほどの見返り(面白さ)があるのか?」という疑問が頭をもたげてしまう事が、つまらない原因になるかと思うのです。
というか、これほど長い年月をかけた物語を懸命に読んでいるというのに、あァァァんまりだァァアァって感じになります。
全ての伏線回収を望むわけではありませせんが、そもそも最初から回収する気がないなら、余計な発言をすべてカットして欲しいと思いました。
どれが本筋で、どれがノイズなのかを見分けるのが面倒になった読者は_そのうち、考えるのをやめた。
一般におけるミステリーのような考察を楽しむ余地はなく、「いいから早く話を進めてくれ!!」という一言に尽きるのです。
ちなみに、読破後に読み返してみると、よりキャラの言動が過去と不一致だったことが際立つので、自分の妄想で補完するしかないというのが現状です。
⑤「4部」との比較によって生まれる落差
さらに言えば、4部と同じく「杜王町が舞台」なのも、読者とのミスマッチを生んでいる可能性もあります。
4部は割と「明るくてノリが良く軽快な作風」で人気を誇っていました。
8部では一巡後の「4部の世界」を踏襲しているため、自然と比較対象となります。
「4部のようなキャラの掛け合いや、吉良吉影のような魅力的な悪役キャラの登場」を心待ちした読者もいた事でしょう。
ところが、いざ蓋を開けてみると、魅力的というよりも「岩人間」のような不気味なキャラが現れたり、1回1回の戦いも長いです。
仲間ポジションに見えた「常秀」も癖が強くて、結局全然仲間にはならなかったりするモヤモヤを抱える事にもなります。
ストーリーにおいても、4部のような明るさとは縁がなく「呪い」をテーマにしているだけあって「暗くて重い話ばかり」。
これこそが4部と比較した時の落差となってしまうのです。
つまり、4部の軽快で痛快なノリを期待したら、8部は暗くてガッカリした、というパターンになりえるわけです。
ジョジョリオンがつまらない要素のまとめ
総括すると、ジョジョリオンのつまらなさは、連載期間の長さとストーリーやバトルの重さ、また魅力的なキャラクターの不足にあったのではないかと思います。
(8部吉良・仗世文は非常に良いキャラなのですが、1巻の時点で死亡しており、過去の存在になっているのも残念だったり。)
そして、4部との比較によって、これまでの読者層とのミスマッチが起きてしまったのではないかと。
もちろん、荒木先生が描くミステリー作品が下手とは毛頭思いませんし、実際「岸部露伴は動かない」というスピンオフシリーズは普通に面白いです。
が、やはりジョジョの読者が求めるのはやはり「語りたくなるキャラクター」や、「痛快なバトル」なのではないかと思う次第です。
面白くなるのは中盤から?
しかし、11巻の過去パートによって、定助の過去が明らかになってからは、ミステリー要素はほぼなくなります。
過去を掘り下げるのは終わり、14巻以降はようやく未来へと話が進んでいくのです。
物語の方向性が決まっていくため「分かりやい」という点では、中盤からは面白くなるのではないかと思います。
加えて、ようやく「豆銑礼(まめずく らい)」という頼れる相棒キャラも登場し、共に強敵に立ち向かうバトルはかなり熱いものがあります。
なので、ジョジョリオンは中盤である14巻からが本番と言っても過言ではないでしょう。
強いて不満点を挙げるとすれば、黒幕が曖昧なまま進むこと位でしょうか。
しかし、「岩人間」という存在が明確な敵として描かれているので、展開的には非常に分かりやすいです。
さらに、東方家の長男である「常敏」とその息子「つるぎ」も加わってを三つ巴の争いに発展します。
「一体だれが勝者になるのか?」という好奇心をそそられ、普通に読み進めたくなるストーリー展開なのです。
序盤の展開で途中で離脱した方も、完結した今だからこそ再び読む価値のある漫画だと思います。
ラスボス戦は読みごたえ抜群
中盤以降は、流れるようにラスボス戦に移っていくため、一気に完結へと向かいます。
ラスボス戦の開始が21巻からですが、最終巻である27巻までずっと続くのです。
当初はラスボスの正体も不明であり、スタンド能力の謎も多く、まさかのミステリー要素が再びという所。
しかし、これこそが8部におけるスタンドバトルの真骨頂であると言っても過言ではありません。
これまでの「追跡」という流れの集大成であり、相当な読みごたえがあります。
また、東方家の思惑も交差し、手に汗握る展開が押し寄せていくのです。
あまりにも強すぎるラスボスをどうやって倒すのか!?
そして、物語はどのような結末を迎えるのか!?
それは次回の記事でお伝えしたいと思います。
【警告!!】
次回の記事はネタバレを含むので未読の方はぜひ本編を読んでみてください!
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次回、ラスボスの正体や魅力について
次回の記事ではジョジョリオンのラスボスの正体・魅力の考察をしました。
本編を読まれた方にとっての情報共有にもなると思うので、ぜひ読んでみてください。


















