Switch版「文字遊戯」をクリアした感想とエンディングの考察をしました。
注意!途中からネタバレとなっていますので、未プレイの方はお気を付けください。
Contents
ストーリーについて
ストーリーは一見するとドラクエを彷彿とさせるRPGとなっています。
ある日、いつも通りの日常を送っていた「我(ワタシ)」は、老人(詩人)と出会うところから物語がスタート。
我は文字を操る「識字の勇者」として導かれ、世界を氷漬けにせんとする魔龍(ダークバハムート)を倒しに向かう事に。
そして、囚われた姫を救い出すという内容となっています。
その道中でボスを倒したり、3種の魔導具を入手するという王道的な冒険が待っているのです!
文字で出来ているからこそのゲーム性
目を引くのは、やはりゲームがすべて文字で構成されている事に尽きます。
「我」という主人公がテキストの中を自由に動き、その内容を改変する事でシナリオが進行。
例えば「不可能だ」という文字の「不」を削って「可能」にする事が出来ます。
また、テキスト以外の設置物である樹、壁、鳥…あらゆるものが文字で表現。
それらを動かしたり組み合わせることによって、新たな道を切り開く事が出来るのです。
唯一無二のゲーム性であるため、その点においては価値の高いゲームだと思われます。
進行と謎解き要素について
基本的にテキストを読み進めて行けばいいので、ストーリー自体はサクサク進みます。
中だるみしなかったのはそのおかげと言っても良いでしょう。
ただ、作中では何度も謎解き要素が発生。
場合によってはつまずく事もあり、楽しい場合もあれば面倒だと思う事もゲーム性を上げていると言えるのかもしれません。
「瞑想」というコマンドによってヒントも得られますが、後半になればそのヒントも分かりにくくなっていきます。
自力で解けた時の快感もありますが、文字という文字に総当たりする事もしばしば。
ストーリーだけを追いたい方は普通に攻略サイトを見るのもアリだとは思います。
かくいう僕も魔龍城だけは攻略サイトを頼ってました。
操作性について
操作性については、ちょっともっさりしている感じはあります。
ダッシュ機能もありますが、我の移動速度はちょっと遅めです。
また、押引手袋(プッシュグローブ)を使用した際の判定が分かりにくかったのが残念。
Yボタンを押す事で一部の文字を掴む事が出来るのですが、「今自分が掴めているのか否か」がパっと見では分からないのです。
掴めたかどうかは音で判断するしかありませんが、音量を調節しても小さくて聞き取りずらい上、「我」の向きを調節するのもまた面倒。
この辺りの操作性をもう少し分かりやすくして欲しかったところ。
ゲームのボリュームについて
購入してから3日ほど、プレイ時間としては10時間以内でクリアしました。
スイッチ版を定価の3,600円で購入しましたが、正直ボリュームに対してやや割高かと。
ただし、それはゲーム内容の価格というよりか、制作や翻訳のための膨大な労力への対価として見た方がいいのかもしれません。
クリエイター様のインタビューを拝見しましたが、1年以上かかっているようです。
二ヶ月をかけてスクショベースのドキュメントを整備した後、一年ほどかけてそこに翻訳指示を書き込んでいきました。それに対して原作サイドの監修やリテイクが入り、全てが整ってから実際の実装作業をスタートしたんです。それでもだいぶ時間はかかってしまいましたが、お互いの消耗は最低限に抑えられたかなと思いますね。
https://news.denfaminicogamer.jp/interview/250813w
プレイ時間としてのボリュームとしては物足りなかったかもしれませんが、貴重な体験が出来たという質の意味では十分満足しています。
ストーリーの見所
ストーリーの見所はいくつかあるので、それらについて触れていきます。
ただし、ここから先はネタバレ満載なので、未プレイの方は実際にプレイする事をオススメします。(クリア後にまたお会いしましょう。)
もしクリアされた方であれば読みください。
英数を分解する
特に印象に残ったのは巨人戦です。
友達である「英数」を自らの手で分解しなければならないというまさかの場面。
他に答えがないかを探しながらも、結局正解は1つしかないという無慈悲さ。
それをプレイヤーに強制させるところは、なかなかハードな展開でした。
魔龍に敗北する
また、ストーリーは一見王道だと思わせながら、やはり途中から意外な展開へと変わります。
「我」は苦難を乗り越えてついに魔龍と対峙するも、まさかの確定敗北なのです。
敗北後、偽エンディングが流れると同時に、「我」が本の中の存在である事が仄めかされます。
そして、我から「人」となり、本を遡る事で、各章をもう1度書き換える事が出来るのです。
そこで過去の文字を改変し、新たな物語を創造していくことで新たなエンディングを迎えるという結末。
感動の後、ようやく姫を救い出すことに成功…と思いきや、大団円が待っているわけではありませんでした。
まさかのメタ的なオチ
この物語は、娘を持つとある父親によって執筆されたことが最後に明かされます。
つまりは、本作はメタフィクション作品であり、父親による「文字遊戯」という小説の中のお話だったというわけです。
実際、ラストシーンはこれまでの冒険とリンクしているところもあったのです。
例えば、コールドスリープによる氷漬けの文字、言葉を失った娘など、文字遊戯の世界が反映されています。
さらに、これまで1,000人以上の勇者がいたことも、父親がこれまで何度も書き直していたことに繋がるのです。
一転したと思ったら、さらに二転するという展開には驚きました。
ラストの考察について
ただ、こうしたメタフィクションというエンドになっているのは賛否分かれると思います。
どこまでがリアルなのかという線引きが曖昧であり、解釈も人によって異なるでしょう。
場合によっては、これまでの冒険が無駄に終わったような気持ちにもなるかもしれません。
実は僕も最初はそう思ってガッカリし、このゲームには否定的な感情を持ちました。
しかし、よく考えてみれば父娘のエピソードを含めてすべてが「文字遊戯という世界だった」という見方も出来ます。
なぜなら本当の最終章は「第八章」という表記となっているからです。
第八章の現実世界も、よく見れば細かい「文字」で構成されているため、「文字遊戯の世界」なのです。
父娘もあくまで物語の住人であり、だからこそ、プレイヤーの添削によって彼らの運命を変えたという解釈も不可能となるでしょう。
父親の作った物語は未完成品でしたが、それを完成させたのは「我」であり、「人」であり、「I」であり、プレイヤーたる勇者なのですから。
そして最後に生成されたQRコードによって、初めて勇者は現実世界へと帰還を果たす事が出来るという物語…だと僕は解釈する事にしました。
正しいかどうかよりも、しっくりくるかが重要なのです。
文字遊戯について総評
操作性は若干悪く、ラストシーンは考えさせられましたが、貴重な体験が出来るゲームでした。
作り込みもそうですが、日本語への翻訳の難易度は想像もつかないほどでしょう。
そうしたクリエイターに対する評価としては、間違いなく賞賛に値するのではないでしょうか。
まったく新しい形のテキストアドベンチャーを楽しめたことに感謝いたします。