今回は呪術廻戦を0巻~最終回(コミック30巻)まで読んでみた感想です。
小賢しい考察とかはなく、ただの一読者としての雑感となります。
(最終回までのネタバレも含むのでご注意を!!)
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アニメから入ったにわか読者
僕が「呪術廻戦」に触れたのはアニメ1期(起首雷同編24話まで)からです。
流行っていたのは知っていましたが、自分には合わないと思っていました。
同時期に人気を誇った「鬼滅の刃」を全く面白いと思わなかったので、ジャンプ漫画はもう読まなくていいかなという感じでした。
けれど試しに呪術廻戦のアニメの1話を見てみたら、めちゃくちゃ面白いと感じ、24話まで視聴する事となりました。
なんといっても、キャラが立っていて魅力的。
セリフ回しも感情的な要素を排していてクール。
能力も癖があって、バトルシーンに見入ってしまう。
特に伏黒くんの「影」を使った「式神術」とかまんま中二でカッコよすぎ。
キャラクターたちにどこか達観した価値観が根底にあると感じて惹かれました。
なので、アニメ視聴後は速攻で電子書籍を買い集め、2024年12月25日に発売された最終巻まで読み進めることになったのです。
渋谷事変の後はひどいのか?
渋谷事変までを読んでいて非常に盛り上がり、次の単行本の発売日を楽しみにするほど。
ところが、次の章から異変が起きます。
途中までは楽しく読ませていただいたのですが、失速気味に…。
ちょっとつまらないのではないかという要素もあったので、いくつか挙げていきます。
死滅回遊が面倒臭すぎる
何なんですか「死滅回遊」って…。
澁谷事変まで割とテンポが良かったはずのなのに、急に小難しい話が出てきて説明だらけ。
ちゃんと理解しようとしながら読めばいいのでしょうが、そこまでちゃんと読む価値は感じられませんでした。
読むのが面倒くさいと思ってしまったからです。
面白い展開に繋がりそうだったら真面目に読むのですが、むやみに戦闘シーンを増やしたり、仲間の術師を増やすための理由付けとしか思えなかったのです。
それに、こちらはあくまで「漫画」を読みたいのであって、長い説明やら文章を読みたいわけではありません。
主要キャラクターの退場
渋谷事変後は、ナナミン、野薔薇ちゃん、東堂などのこれまで育ててきたであろう愛着のあるキャラは退場。
のちに、頼みの綱の伏黒君も残念な展開に…。
その代わりに、ぽっと出のキャラが量産されて困惑するばかりでした。
さらに、失った戦力を穴埋めするかのように、残った真希だけは2回もの覚醒イベントがあり、バランスが悪いと言わざるを得ません。
一応、ぽっと出術師たちは総力戦の時に活躍する場面も描かれましたが、別にいてもいなくてもよかったような…。(高羽以外は)
羂索の目的も曖昧過ぎる
宿敵である羂索の最大の目的が「面白いから」でしかないのも引っかかるところ。
特に明確な意図があるわけでなく、強大な力を持て余しているから行使しているっていう感じです。
そのため「一体何のために術師たちは犠牲を払って戦っているんだ?」といいう疑問しかありませんでした。
羂索がカッコよく描かれているなら別ですが、ただ「迷惑な奴」でしかなく、さっさと退場して欲しかったです。(夏油はかっこよかったですけど。)
虎杖くん地味過ぎない?
そして、肝心の主人公・虎杖くんの活躍があまり描かれないというのもガッカリポイント。
終盤まで特に成長イベントもなく、いつものように敵からあざ笑われたりと、良いとこなしです。
0巻を読むと、乙骨先輩の方がザ・主人公をやっているので、尚更そう感じてしまいました。
こういう展開が読みたかったから単行本を買ったのではないのに…。
盛り返したのは髙羽史彦
とはいえ、せっかく単行本を集めたので、どうせなら最後まで読もうと購入を続けました。
ところが、27巻になって急に面白い展開となりました。
お笑い芸人術師「髙羽史彦」の登場です。
まさか、あの大ボスである羂索とのギャグバトルが始まるとは夢にも思っていませんでした。
「やってよかった死滅回遊!」という、爽やかに語る羂索の姿を誰が予想できたでしょうか?
これまでの戦いはいったい何だったのかというレベルでぶっ飛んでます。
今後の展開に不安を抱えていた僕ですが「読んでよかった死滅回遊」と思うほど面白かったです。
ボーボボリスペクトという事もあり、芥見先生と同世代であることを嬉しく思いました。
羂索の魅力もここに来てようやく爆上がりしたという感じです。
しかも、その後に漫画としても終わりを迎えそうな流れだったので、このまま最後までついていこうと思いました。
呪術廻戦の最終巻の感想 (ネタバレあり)
最終巻の感想としましては、野薔薇ちゃんが復活してよかったかなと。
東堂もさすがブラザーというだけあって、真のパーティ入りを果たしてくれたのも満足です。
乙骨も五条の死体を借りるという合理性とクレイジーさを見せてくれたのも驚きでした。
虎杖くんは…最後まで地味な技しかなかったですね。
ただ、虎杖くんが最後に見せた「領域展開」は、彼の本質が「戦う事が全てじゃない」という優しさであったのがよかったです。
それまではずっとあんまり主人公っぽくないと思って読んでいましたが、宿儺に憐れみをかけるという一つの愛を見せてくれました。
その姿は、やはり主人公と言わざるを得ません。
やはり、心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのかもしれませんね。
宿儺と虎杖の語らいも最終巻での大きな見どころだと思っているので、最後まで読んでよかったなと思った次第です。
結末に関しては、まぁちゃんとラスボスを倒せたからヨシ、という感じですかね。
その次の話で、まさかキャラクター達が「あの時ああすれば~」みたいない反省回があり、それはちょっと蛇足っぽかったですけど。
結局、呪術廻戦は面白いの?つまらないの?
難しく考えて読むよりも、ノリで読む方が面白い漫画だった気がします。
理屈よりも「感覚」。
内容よりも「雰囲気」。
仲間キャラ達には魅力があり、その点は読んでいて楽しいところでもありました。
いつ死ぬかも分からない戦いの中で、どこか自分の運命を受け入れている様はクールです。
しかし、それでも根底には熱さや想いがあり、そこに時々触れられた時に感情を動かされるというか。
ありがちな能力系バトルの解釈の仕方も独特で、この作品ならではの要素だったと思います。
最終的には肉弾戦なのも、能力バトル漫画に対するアンチテーゼだったのかもしれません。
ひどいと思われる点
読者の求める展開を描くというよりかは、想像もつかない事を描こうとする意図を感じました。
それが面白いかどうかは別として、需要と供給のミスマッチは割と起きるような漫画だったのではないかと思います。
個人的には、両面宿儺を倒すというストーリーは一貫しているとは思うのですが、羂索のせいでややこしくなった印象です。
その整合性を保つために急に複雑になってしまい、後半になるほど当初の面白さや勢いが失われていったと思われます。
それでも羂索亡き後にようやく宿儺と正面からぶつかり合って完結まで読めたのはよかったです。
そして五条先生のような一強に頼る時代は終わり、若い者たちが時代を作っていくんだ!というラストだと解釈しています。
未来への希望が描かれたラストであり、宿儺も負けを認め新たな道を歩もうとする場面あり、読後感はよかったです。
また「伏線未回収」については、ガチ勢やファンの方ほど「ひどい!」と思われるのは想像に形くありません。
逆に、僕のようにあまり考えずに読んでいた分には、「そんな伏線てあったっけ?」という感じでノーダメージで済みました。
呪術廻戦 最終巻についてまとめ
展開は読めないため、続きが気になる漫画でした。
しかし、期待を上回るどんでん返しがあったかというと正直微妙です。
また、敵味方ともにそれぞれの戦う目的や意義が明確にされないため、「何がしたいのか」が分かりにくいところもあります。
そのため、僕はとりあえず最終話まで読んでからまた0巻から読み直そうと考えていました。
ただ、結末を見る限りでは、最後に描きたい事が描かれていたと思われるので、それが読めただけでも充分かなと。
それでも序盤の展開や、ありがちな能力バトル漫画を陳腐化させないための創意工夫や独自解釈に面白さを感じました。
また「次は誰が死ぬのか?」という緊張感が常にあり、目が離せずに読んでいました。
それに、良くも悪くも話題にあがる漫画であり、完結後でも語られること間違いなしです。
少なくとも、呪術廻戦でしか味わえない要素はあったので、読ませていただいけたことには感謝です。